2015年7月1日水曜日

高いボルダー、まずは掃除から@御岳&山野井泰史『アルピニズムと死』

以前、孤独について書きました。あのときは冗談めかして書いたのですが、本当にそう思います。lonelinessとsolitudeは別物、とアレントは言ったそうです。そのsolitudeがsoloという言葉とつながっている、そのことを知ったとき、いろいろなことが腑に落ちました。たった一人で岩と向き合うとき、強さが必要です。誰もいない大岩壁に一人で挑むことができる、それが山野井さんの強さなのだと思いました。僕にはその強さはないけれど、一人で岩と向き合って初めて、強さに一歩近づくことができるのだと信じています。


パートナーの都合により一人の日曜日。小川山か、近場か。近場だとしたら、秋川のボルダーを探しに行くか、御岳あたりか。一通り悩んだ末に、遅い時間からでも行けて、歩きの少ない御岳にしました。最近はまた、半月板の割れた左膝の調子が良くありません。だましだまし付き合っていくしかありません。

掃除道具一式を抱えて、美しい局面を持つボルダーにやってきました。このボルダーは、多くのボルダラーが往来する遊歩道のすぐ脇にあります。かつては杉の木に遮られて人目につかなかったのですが、少し前に杉が伐採され、いまは丸裸です。岩は全体的にもろいですが、最も美しい局面部分は、意外としっかりしています。上部に回ると、そこには、かつて御岳山への参道だったと思われる道があり、立派な鳥居が立っていました。

ロープを垂らしてぶら下がってみると、以前に見上げたときの印象とは違い、安心できない高さを感じます。上部の腐った木を除去して、一通り苔を落として、マットを敷いて下から登ってみました。スラブへの立ち込みになんとか成功し、そこから数手(数歩?)が限界でした。前傾部分にホールドが乏しく、あっても方向が悪く、とても厳しい。これをボルダーとして登れる日は来るのでしょうか?


もうじき、小川山のスラブで精神とソールをすり減らすシーズンに入ります。今季の奥多摩では、《アドレナリン・ジャンキー》と《アーバンテイスト》という素晴らしいルートと、幾つかの心に残るトラッドルートと、幾つかの美しいボルダーを登ることができ、また、素敵な出会いもありました。他方で、方々でやるべきことを残したシーズンでもありました。一生かけても奥多摩は遊び尽くせそうにありません。奥多摩が好きです。また、秋になったら帰ってきます。

2 件のコメント:

  1. むーにーまん2015年7月1日 14:34

    半月板割れてたのですか…

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  2. 7、8年前に割れて以来、膝の不調とお付き合いしています。普段はさほど問題ないのですが、長いアプローチなどでは痛みが出ますので、岩場選びは慎重にやってます。

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