2016年7月31日日曜日

トキオ83' & サラダむし、小川山マントル@小川山

スラブを登りに小川山。いつものパートナー松氏と一緒。

狙いは屋根岩4峰サラダむし。その前にクラックを幾つか登りたいということで、キャメ6までを抱えて足取り重くアプローチ。4峰周辺は踏み跡薄く、軽く迷いつつ顕著な斜上ダイクにたどり着いた。まずはアップを兼ねてトキオ83'。

トキオ83'は2Pのルート。1P目はスラブからクラックの5.10a。松氏がリードしてオンサイト成功。僕はフォロー。スラブ部分はなかなかのクオリティで面白い。上部の短いクラックもバランスが悪くて厳しい。終了点は木にスリングにリング。

2P目のクラックは5.9。僕がリードしてオンサイト成功。フィンガーからワイドまで盛りだくさんでとても良い。形状が複雑なため先が見えないので、プロテクションのマネージメントにも気を使う。手持ちのカムが例によってマスターカムとキャメ1セットずつだったのでかなり不安。結局、ハンドサイズ以上のカムを早々に使い果たし、ヘキセンまで全部放出したころに、終了点が見えてきた。持ってて良かったDMMトルクナッツ。終了点は木に腐れスリング、残置ビナ1枚あり。下降は懸垂2回。このグレードとしてはオンサイト・トライの充実感高し。★★

アップのつもりが、なかなか厳しいスラブと先の見えないクラックへの突入で消耗し、お腹いっぱいになった。大満足。そうは言っても本題が残っているので、サラダむし。

サラダむしは5.10のスラブ。グラウンドアップで拓かれているようでなかなかのランナウトっぷり。ただ、難しいムーブはボルトのすぐ上なので、問題なし。核心部のムーブで勇気が出ず、テンション。分かればできるムーブなのに、オンサイト・トライでそれができない。できないというより、できるかできないかの判断ができず、ムーブをおこすことができない。思い切って突っ込むことができない。スラブの経験が圧倒的に不足している。とても悔しい。

精神的に消耗したので、あとはボルダー。親指岩下エリアでマントルサーキット。マントル課題だけを下から順番に登って、たどり着くまで。小川山マントル(5級)を登ることができたのが、良かった。小川山マントルは左のクラックと右の足元の岩の間にラインが引かれていて、右よりと左よりの2通りが登れる。両方を登った。特に右が面白くて、今はやりの地ジャンから被った岩の上にマントルを返す。失敗すると岩が露出した斜面に吹っ飛ばされて緊張感満点。そのあとはその右の4級のマントル課題に敗退して終了。

この日は瑞牆の岩が濡れていたようで色んな人が小川山に大集合。じゅんさんとロジャーさんは、ちょっとまえに書いた「小さな親切大きなお世話」の記事を読んで登りに行ったそうで、嬉しいことです。

2016年7月29日金曜日

クライミングルートは著作物であってはならない

1 はじめに
 ロクスノ72号(2016年夏)において宗宮による「チッピングは犯罪か」と題された小論が掲載され、クライミングルートは著作物であるという主張が展開された。以下では、この主張を「ルート著作物論」という。今回は、このルート著作物論について検討する。

 要旨は以下の通りである。第一に、ルート著作物論とは何かを、上記ロクスノに依拠してまとめる。第二に、ルート著作物論に対する批判を紹介する。ルート著作物論に対してはすでに幾つかの批判が提示されており、ここではそれらの批判を紹介する。第三に、従来の批判とは別の観点からの批判を提示する。

2 ルート著作物論とは何か
 ルート著作物論は、既成のクライミングルートは著作権法により保護される著作物であると主張する。そして、クライミングルートが著作物であるとすると、チッピングは著作者の同一性保持権を侵害するものであり、刑事罰の対象になる。加えて、損害賠償、差止め等の民事的救済も利用可能となる。このように、チッピングに対して法的な制裁と救済を与えることが、ルート著作物論の目論見である。

3 ルート著作物論に対する従来の批判
 ルート著作物論に対しては、すでに幾つかの批判が提示されている。それらはおおまかに、ルート著作物論の実現可能性に関するものと、ルート著作物論の理念に関するものに分けられる。

3.1 ルート著作物論の実現可能性に関する批判
 ルート著作物論の実現可能性に関する批判としては、以下のものがある。第一に、ルートの著作物性を肯定できないというものであり、第二に、著作権侵害に対する救済に実効性がないというものである。
(https://twitter.com/Syumpeter/status/741856642048757761)
(https://twitter.com/sseyou4040/status/720809936859435008)

3.1.1 ルートの著作物性
 著作権の対象は著作物であある。ルートに著作物性を認めることは難しいというのが、大方の反応である。ありのままの岩にルートを設定した場合、岩には何の変化も加えられていないのであるから、著作物性を認めることは難しいという感覚は十分に理解出来る。ただし、奇妙なことではあるが、設定者がチッピングによってホールドを作って完成させたチッピング・ルートは設定者によって創作されたものであり、著作物性を認めることが可能かもしれない。

3.1.2 著作権侵害に対する救済の実効性 
 ルート著作物論が実現すれば、チッピングは犯罪となる。しかし、実際にチッピングに対して被害届を提出したり、告訴したりしても、捜査機関は取り合ってはくれないだろうとの批判がある。その通りであろう。もっとも、ルートが著作物であることが明確になれば、違法性が明らかとなり、捜査機関も対応せざるをえなくなる可能性はある。
 さらに、チッピングは隠れて行われるので発覚する可能性は低く、救済に実効性はないとの指摘もある。

3.2 ルート著作物論の理念に関する批判
 ルート著作物論に対する現在のところ最も包括的な批判は、田渕によるものであろう。
(https://www.facebook.com/notes/田渕-義英/法的責任を考える-チッピングは犯罪かに対する批判/1372519019429960)
 それは、以下の通り、主としてルート著作物論の理念に関する批判である。田渕によると、著作権は財産権であり、ルート著作物論はルートを財と考えるものである。そして、クライミングを財の観点から理解することは、クライミングを市場の土俵に乗せることである。そこでは、クライミングのルートの価値は財として評価される。言い換えると、クライミングのルートはその効用によって測られることになる。

  さて、ここで指摘される「効用」はもちろんutilityであるが、それが誰にとっての効用であるかが問題である。効用が他のクライマーにとっての効用である限りは、つまりクライミングの市場がクライマーのみによって構成されているのであれば、ルート著作物論にもさほど問題はないだろう。なぜなら、ルートの価値が効用によって測られることの意味は、そこでは、ルートの価値が他のクライマーが感じる満足度によって測られるということであり、それはクライマーが望むところであるからである。

 しかし、市場がクライマーのみによって構成されるのでないならば、問題が生じる。クライミングにはすでに多くの企業が参入しており、例えばアディダス社はすでに、少し前であればありふれたことであったトップクライマーと触れ合う機会を特別なものとし、トップクライマーと一般クライマーの距離を遠ざけようとしているように思える。
(https://twitter.com/adidasOTD_jp/status/756421296297091072)。
 効用には、こうした企業の効用も含まれる。ルート著作物論が実現すれば、トップクライマーを支援するスポンサーは、トップクライマーが拓いたルートの著作権を自分のものにし、経済的利益を追求する道具として使うかもしれない。

 なお、田渕は、以上の批判に加えて、2点の批判を行っている。第一は、著作権の保護期間に関するものである。すなわち、著作権には保護期間の制約があり、著作者の死後50年経過すると消滅してしまう。そうすると、ルートの設定者の死後50年が経つと、チッピングが許容されることになってしまう。第二は、排他的使用権に関するものである。すなわち、著作権者には著作物を排他的に使用する権利が与えられており、ルートの設定者が許諾したければ他のクライマーはそのルートを登ることができなくなってしまう。

 このうち前者は、ルート著作物論の実現可能性に関するものといえる。後者は、ルート著作物論が実現された場合の問題点を指摘するものであるが、ここには誤解がある。ルートが著作物であっても、少なくとも公開された岩については、著作権者が他のクライマーが登ることを排除できるわけではない。岩を利用することを許容し・拒絶する権利は、もっぱら岩の所有者に与えられる。この点については、ルート著作物論自体がルートの著作権と岩の所有権の関係を十分に整理できていないことに問題がある。岩にルートが引かれると、所有者さえ岩を改変することができなくなるのだろうか。

3.3 小括
 以上の批判は、二つの方向性に分けて理解すべきである。第一は、ルート著作物論の実現可能性に関するものである。これは、ルートを著作物として保護することは難しいと考えるものであり、暗黙のうちに、ルート著作物論が望ましいことを前提とする。これに対して、第二のルート著作物論の理念に関する田渕の批判は、ルート著作物論の望ましさに関するものである。これは、ルート著作物論は実現されるべきではないと考えるものであり、この立場からは、ルート著作物論の実現可能性はむしろない方が良いことになる。

4 新たな問題
 ここでは、従来の批判とは別の観点からの批判を提示する。

4.1 著作権はいつ成立するか
 仮にルートが著作物だとして、著作権が成立するのはいつだろうか。これには、幾つかの可能性がある。例えばクライマーが岩を発見して、「ここは登れそうだ」と考えた時点で著作権は成立するのか。普通はそうは考えないだろう。では、ボルトルートであれば、ボルトを打った時か。もしそうであれば、クライマーは登れるかどうかわからない岩にも、権利を確保するために我先にとボルトを打つだろう。それがクラックのすぐ脇であっても。

 この問題に対して、多くの人は、「ルートが完成した時」に著作権が成立すると答えるのではないだろうか。それでは、ルートの完成とはどの時点を指すのか。例えば、トップロープで通して登れば完成か。いや、リードに成功して初めて完成だと考える人も多いだろう。では、しばしば見られる「トップロープ課題」は著作物ではないのか。チッピングをしてもいいのか。

 例えば、トラッドルートであれば、レッドポイントに成功した時点なのか、ピンクポイントで良いのか。湯川の白髪鬼の著作権者は、保科雅則さんか、中島徹くんか。

 マルチピッチのルートは、各ピッチをレッドポイントした者に著作権が与えらえるのか。それとも、全ピッチを通して完登した者にすべてのピッチの著作権が与えられるのか。全ピッチを通して完登したと言う時、それはワンプッシュに限定されるのか。

 完登の定義は時代によって変遷している。かつてヨーヨースタイルが主流であった時代に1フォールで登られたルートは、その時点で著作権が成立するのか。それとも、後の時代にレッドポイントした者に著作権が与えられるのか。「その時代に一般的に認められているスタイルで完登した者に権利が与えられる」というのが、多くのクライマーの認めるところではないだろうか。しかし、「一般に認められている」の判断も困難であろう。

4.2 クライミングの価値を国家権力に売り渡す
 このように、具体的なケースにおいて著作権の成立時期や著作権者を判断することは容易なことではない。しかし、ここでは、個別のケースについて権利の成立時期や著作権者の判断に結論を与えることをしたいわけではない。

 これらの個別のケースにおいて著作権の成立時期を決定する権限が裁判所にあることが指摘されなければならない。そして、言うまでもなく、ほとんどの裁判官はクライミングを経験したことはない。ルート著作物論が実現すると、クライミングのクの字も知らない裁判官に、何をもって完登とするかというクライミングの価値の根元に関わる問題についての決定権限を与えることになる。チッピングへの抑止力を得る対価として、クライミングの価値を国家権力に売り渡すことになる。果たしてこれが、クライマーが求めるクライミングの姿だろうか。

 この点は、以下の指摘と軸を一にする。

 
5. まとめ
 以上の通り、ルート著作物論には、種々の批判がある。このうち、ルート著作物論の実現可能性に関する批判は、問題ではない。むしろ、ルート著作物論が万一実現した場合の弊害を指摘する批判が重要である。ルートを著作物と認めることができないことが問題なのではなく、ルートを著作物と認めることが問題なのである。ルート著作物論は、クライミングの価値を市場に売り渡し、国家権力に売り渡すものである。クライミングの価値をクライマーにとどめおくために、ルート著作物論を実現させてはいけない。

2016年7月25日月曜日

KB岩周辺探索とボルダリング

小川山の予定が、猫が危篤のためいつものパートナー松氏が離脱。一人になったので、岩探しにしました。KB岩のアプローチから対岸に見えた岩の探索へ。

10mクラスのスラブが無数に。この周辺の岩の特徴なのか、どの岩もホールドはほとんどなく、登れば面白そう。しかし、ほとんどの岩はわざわざボルトを打つほどの大きさでもない。帯に短し襷に長し、ルートに短しボルダーに長し。カムとナッツで登れそうなところはあり、やってもいいかも。アプローチ15分。ちょっと奥に行くと、割れ目のある岩が増えてくる。しかし、岩のサイズは小さめ。さらに奥に行くと、もっと割れ目は増えるけど、サイズはさらに小さく、傾斜は落ちる。

手前のスラブと中間部のクラックが可能性あり。アプローチは短いので、松氏のKB
岩再挑戦のついでに登ってみてもいいかもしれない。

フィンガーティップのスラブから120度

スラブに割れ目

80度と130度のコンタクトライン

スラブに細い割れ目

KB岩の先のピナクルは登れるだろうか?



あとはボルダリングを少々。

リップ取り核心

カンテの実力不足

やさしいクラック

マントル核心

久々に真面目にボルダリングをやって、着地技術の衰えと恐怖心の増大を感じました。ボルダリングもちゃんとやらないとダメだ。帰りはピラニアで閉店まで。お世話になりました。



2016年7月18日月曜日

小川山シーズンin!で、小さな親切大きなお世話

シーズン最初の小川山。いつものパートナー松氏と一緒。

天気予報がいまいちで、小川山か、瑞牆か、どっちもダメなら岩探索か、という感じで目標定まらぬまま、小川山に到着。この日の狙いはスラブです。駐車場で行き先を悩んで、プチロックの小さな親切大きなお世話(5.10b)を登りに行くことに決定しました。

まずはガマスラブ周辺でアップ。

ハート&ソウル(5.10a)は難しかった。


2回やって、テンション交じりのトップアウト。どスラブでクオリティは高い。下部は右のボルトを使わずフレークにカムを入れて登りました。上部は左にラインを取ればNPで登れるかもしれない。核心部はボルトがないと難しいかな。核心部のボルトはカットアンカーでこれから少々不安。終了点はラッペルステーション。ビナを2枚残置しました。

シーズンはじめのスラブは毎年苦労します。例年だと、夏の最初の小川山では、廻り目平に近づくにつれて屋根岩北面の岩峰群が見えてきて胸が高鳴るのですが、今年は冬から春にかけても花崗岩を登っていたからか、それほどでもありませんでした。しかし、スラブを登り始めるとやっぱり独特の楽しさがありますね。

ウィスキー・キャット(5.10a)は30mちょうど。


ここという核心部があるわけではなく、ずっと同じような強度が続き、とてもいい。こういう長いルートを登りながらムーブを読んで初見で攻略するのはとても楽しいです。ピカピカのグージョン。60mロープでギリギリ下降できます。終了点はボルトにハンガー2本。残置ビナあり。オンサイト。★★

KC’S Banana Cake(5.10a)は、折り重なったような岩を4つほどつなぐライン。一つ目の岩はホールドのないスラブでとてもいい。ここで終わりでいいような気がする。最上部は左にボルトがあるけど、右のほうが簡単で、僕はボルトを無視して右を登った。こういうのはイマイチ。ライン取りが設定と違う可能性も高いけど、どうでもいいので一応オンサイトということで。終了点はラッペルステーション。残置なし。

ここで、続おじさん岩に移動して、ぶんぶく(5.10a)。「どこが5.10aじゃ。ふざけんな!」と叫びました。短いけど厳しくてなかなかいいです。 RCCボルト。終了点は岩の穴にスリング。残置ビナなし。左から歩いて回れます。オンサイト。★

いよいよ本題の、小さな親切大きなお世話(5.10b)。


めちゃくちゃいいルートでした。広い岩壁に引かれたルート。左右にルートはなくて、贅沢。全長25m。グラウンドアップで拓かれているものと思われます。核心部のムーブが秀逸です。リングボルトと RCCと残置ハーケン。ワイド成分まであって、最高です。終了点は立木にスリング。残置ビナなし。左から回れます。オンサイト・トライの挑み甲斐という点では、このグレードの小川山のスラブとしては最高クラスです。オンサイト。★★★

久々の花崗岩のスラブを初見でたくさん登って充実しました。今年はこの方向で取り組みたいですね。

2016年7月14日木曜日

秋川DWS

前から行きたかった秋川DWSに行ってきました。

前日の大雨予報が空振りにおわり、この日は水位がかなり低かったようです。5級と言われるメインの課題の他に、滝の上流の左の方にも。

初体験でしたが、DWSほど笑えるクライミングはありません。人が落ちるのを見るのがこれほどまでに楽しいとは。もっと早く行くべきでした。



午後は北秋川ボルダー。シャロー・ウォーターを楽しんだ後、ほぼ昼寝でした。

○アプローチ
場所は「中山の滝」あるいは「アメリカ淵」と呼ばれるところです。以下の地図の出発点に公共の無料駐車場があります。道路を下流に戻るように歩くと、大きな忠魂碑3本の向かいにトイレがあり、その裏手の階段を降りると岩の正面に出ます。アプローチはらくちん。



2016年7月4日月曜日

Rock & Snow #72

ロクスノ72号(2016年夏)。

○特集「マルチピッチへの招待状」
ヨセミテ、レーティコン、エル・チョロ、錫杖。

ヨセミテは杉野保さんによるガイド。写真を見ただけて素晴らしいところであることは一目瞭然なんだけど、行くあてがこれっぽっちもないからちゃんと読む気になれない。

レーティコンは、ずっと前に見たニナ・カプレの映像のSilvergeierがあるところ。どんなところなのかを知ることができたことはよかった。



付録的扱いのビート・カマランダー(Beat Kammerlander)によるビュルサー・プラッテのトラッドルートが実はすごかった。

これはPrinzip Hoffnung。



4:10のところで、なぜ対物ビレーをしてるのかは謎。

こちらはPsychoGramm。


プアプロテクションなルートの内容も凄いけど、こんな岩が住宅地のすぐ裏にあることも凄い。全然モノは違うけど、奥多摩のトラッド・プロジェクトを登る気持ちを高めてくれました。

エル・チョロ。全く読む気になれず。

錫杖は増本亮さんによる解説。これは、亡くなった今井健司さんへの追悼ですね。行ってみたいと思った。

○パタゴニア2016
これまた、いまいちちゃんと読む気になれず。

○クロニクル
バッタ先生による伊豆・妻良海岸のモクマオウ。田島一平さんによるニライカナイ。

○僕らは考える石ころである 植田幹也
期待の新連載。
「岩で高難度課題をレッポポイントすることと、ベルコンのコンペで勝つことは競技自体が違うという見方もできるため、当然、取り組むトレーニングも異なるはずです。」
理想を考えなければなりませんが、これがなかなか難しいです。僕は、スポーツルートでは目標のルートがあり、トラッドクライミングもやりたくて、しかもフィンガーからワイドまで、ボルダリングにも目標があり、ボルダーとボルダーの隙間にも挟まりたい、さらには岩探しもしたい。行ってみれば陸上の7種競技をやってるようなもんですね。7種競技の選手がどいうトレーニングをしてるのかを知りたくなりました。

○カオリンの旅

○東秀樹のクライミングラボ
まあ、いつも通り楽しい。

○こんなの買ってしまいました
ウルトラライト・バックパック。僕はPusherのSackとずっと離れません。同じく名品のSpotはオーガニックが権利を買って生産しているようですが、Sackはもうこのまま市場から姿を消してしまうのでしょうか。早めに買っておいてよかった。

○フィジカルトレーニング 千葉啓史
この連載を読んで継続出来てる人ってどれくらいいるんだろうか?できる人が強くなるんだろうな。

○ジャック中根のクライミング道場
トレーニング後の回復方法。僕ももう年なので、回復についてはちゃんと考えたい。

○チッピングは犯罪か 宗宮誠祐
これについては改めて

○クラッシュパッド・レビュー
サイズくらいは書いてくれないと、情報価値はほとんどないんじゃなかろうか?注目は新構造のマッドロックR3。

○たまにはマルチ
小川山・烏帽子岩右岩壁・ムササビルート

2016年7月3日日曜日

長いクラックのオンサイトを目論む@KB岩から、美しい谷

久々に奥多摩を離れて、山梨方面のKB岩へ。いつものパートナー松氏と一緒。ターゲットは、全長30mのクラックのオンサイトトライ一本勝負。

こんなに長いクラックは登ったことがない僕にとって、難しいのがプロテクションのマネージメント。入念にオブザベをしたいところですが、ルート全体を見渡すことができません。出だしはごちゃごちゃっとしたところを5mほど登って、そこからコーナーのクラック。初めは細いです。それからハンドサイズ?中間部に小ハングが見えます。死角の先にコーナーから左に外れたクラック。ハンドジャムがボンバーか?その上は全く見えず。

しょうがないので登ります。コーナーのクラックに入るまではプロテクションは取れず、まずはコーナーにスモールカム&ナッツ。フィンガーをつないで、シンハンドに広がる。このクラックは、おそらく10年くらいは人の手が入っていなくて、その割に綺麗ではありますが、やはり少しホコリっぽい。狭い凹角に体を捻じ込んで窮屈な体勢でプロテクションをセットする間に、ズリズリっと。なんとかこらえて、えっちらほっちら。

手持ちのカムは、キャメ0.75から3と、マスターカム0から6。上部でハンドサイズのカムを使いそうなので、温存が必要です。下部はできるだけ小さいサイズ。ハンドサイズを入れて、1・2手上がってナッツ&ヘキセンを叩き込んで、下のカムを回収したり。持っててよかったDMMトルクナッツ。

途中、コーナーのクラックの形状が変則的で、プロテクションに大いに悩まされる。コーナークラックの奥にさらにクラックがあって、カムはなかなか効かず、パラレルで、ナッツもヘキセンもだめ。かろうじてカムがおさまってくれる位置を見つけ、勢いで突破。マスターカムが売り切れ、キャメ2までが残った状態で、ちょうど中間地点あたりと思われる小ハング下。

相変わらずシンハンドのジャムは抜けそうで、テンショーン!って言いたくなります。ハングの上がどうなっているか全く予想ができないし。それでも、わざわざこのルートだけのためにここまで歩いてきたのだ、自ら諦めるわけにはいかないと自分に言い聞かせ、小ハング越えに突入。

ハングにアンダーのジャムを挿し、右手をハング上に。浅い。左手をごにょごにょきめ直して、右手を飛ばしたら順手ボンバー。一気に乗っこすと、そこには下から見上げたコーナー左に走るハンドサイズのクラックが。思ったより傾斜が落ちていて助かった!でもシンハンド。

右のコーナーに体を預けつつ、手も足もシンハンドサイズのクラックにジャムしてじりじり進みます。完登を告げるテラスが上に見えた頃、クラックは完全に閉じて、その上にホールドのない小ハングが覆いかぶさっています。左カンテに活路を見いだし、ハング下のホールドを保持して、シンハンドには小さすぎる不安なカムを一本入れ、あとは右のスラブ面に乗り上がるだけ。握れるホールドは、ハング上の甘い小フレーク一つ。これを握って右足で乗り込めば実質終わり。でもやっぱ無理。

小ハング下まで戻って仕切り直し。何かないかと周囲を見渡すと、シンハンドのクラックの途中から右に抜けるラインを発見。右コーナーに体を預けていたので死角になっていたところ。左カンテをクライムダウンして一旦クラックに戻り、右に抜けることに成功しました。

粘りに粘ってオンサイト。会心のクライミングでした。ここのところ取り組んできたトラッド・クライミング、クラック・クライミングの成果が一つ出せました。

ロープスケール30mジャスト。終了点のテラスには、30年前のものと思われるスリングが、朽ち果てた松の木にかかっていました。


松氏をフォローで迎えて、懸垂で下降。

ヘキセン回収中

グレードは、トポに二つのバージョンがあって、一つは5.10a、もう一つは5.11aとなっています。登ってみた感触としては、5.10aか5.11aかが分からないグレード感覚のなさが遺憾です。

他にもこんなの。アプローチで迷っている最中に見つけた小川山のジョイフルジャムっぽい雰囲気のクラック。下が崖なのでカムでリードしました。フィストがギリギリ決まらなくて、傷心物語で習得したエルボーロックを使って登りました。


あとは、日本一つらい初段がある美し谷。日本一つらい初段は結露でびしょびしょでした。秋までだめか?

上流に歩いて、幾つかの岩を登ったり、敗退したり。



秋になったらまた行きたいですね。